世界は思うほど悪くない、「ファクトフルネス」を読んで。

< Photo by Ben White on Unsplash >

子どもたちの春休み中、筆者はなかなかまとまった時間が取れなかったので隙間時間に読書をし、二冊完読しました。

その一つが「ファクトフルネス」です。



スイスの本屋の英語本コーナーにて、平積みになっていました。帯に、マイクロスソフトのビル・ゲイツやバラク・オバマ元米大統領の推薦コメントが書かれていました。友人も面白かったと勧めてくれたので、読んでみることにしました。

面白くて一気に読んでしまいました。これまで読んだ本の中で、将来に希望の持てる大好きな一冊となりました。家族にも勧め、現在パートナーと長男が読んでいます。日本では、2019年1月に日本語翻訳版が日経BP社より出版されています。

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ファクトフルネスとは?
ファクトフルネスのための習慣
「ファクトフルネス」の筆者について
どこが良かった?
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ファクトフルネスとは?

「思い込みではなく、事実やデータに基づき、世界を正しく見ること」です。英語版の副題には、「世界は思うほど悪くない(Why things are better than you think)」とあり、筆者はここを見ただけで、読みたくなりました。

テロ、富裕層と貧困層の二極分化、男女の置かれている環境の違い、高齢者の運転事故、自然災害問題とか、連日ニュースではいやなことばかりが目につきませんか?子どもを取り巻く環境が、どんどん悪くなっていく気がしてしまいます。

でも、本当にそうなのでしょうか?歴史的、データ的にはどうなのでしょうか?と、この本は私たちに問いかけます。

確かに、過去のデータと抱き合わせで報道しているニュースは少ないですし、言われてみれば、たまたま自分が悪いニュースだけ読んでいるだけかもしれませんよね。

そこで、世界を正しく把握できているかどうか、簡単なクイズがありますので、まずは是非皆さんもやってみてください。ご自分が、チンパンジーより頭がいいいかどうも分かります。
オリジナルの英語版クイズは、正答率をクリアすると、世界を正しく見られているかどうかの証明書「Gapminder Facts Certificate 2018」を発行してくれます。ちなみに、筆者(私)は読書前はチンパンジー以下でしたが、読書後にやったら全問正解でチンパンジーにやっと勝てました。

上記2つのクイズは世界についてですが、翻訳者の方がファクトフルネス風に、日本についてのクイズを作っています。こちらも、是非やってみると面白いと思います。

ファクトフルネスのための習慣

クイズはいかがでしたか?「ファクトフルネス」の本を読んでいない方は、ほとんどチンパンジー以下ではなかったでしょうか?でも、ご安心を(?)、筆者も読む前はチンパンジー以下でしたから。

ではなぜ、私たちはチンパンジー以下なのでしょうか?それは、人間の10つの本能に原因があると、「ファクトフルネス」の本は言っています。
  1. Gap 分断本能
  2. Nagativity ネガティブ本能
  3. Straightline 直線本能
  4. Fear 恐怖本能
  5. Size 過大視本能
  6. Generalization パターン化本能
  7. Destiny 宿命本能
  8. Single 単純化本能
  9. Blame 犯人捜し本能
  10. Urgency 焦り本能
本には、それぞれの例と共に対処法も記載されています。是非、日常的にこの習慣を実践したいと筆者は思いました。一部、すでに実行していることもありましたが。

例えば、4.恐怖本能。テロや事件を聞くたびに、日常におびえるのではなく、第二次世界大戦後の、母と父の経験談を思い出すようにしています。世界各地で空中戦が行われ、いつ爆撃されるか分からなかった当時より、現代のがはるかに平和なはずです。もちろん、だからと言って、未だに内戦状態の国々や日々虐待にさらされている児童などから目を背けるべきだと言っているのではありません。

また、9.犯人捜し本能。筆者は、これが本当に嫌いです。基本的に筆者は、家庭でも職場でも犯人捜しはしたくありません。なぜそのような問題が起きてしまったのか(誰がやったのか、ではなく)、という原因の追究と、どうしたら防げるのか、という解決策提案に注力します。人を責めても、何の解決にもならないと思っているからです。筆者だって、忘れたり間違えたりすることがありますので。人間ですから。ヒューマンエラーはあって当然、ましてや、複数の人間がかかわっていれば、いつどこで問題が起きても不思議ではありません。どうやったら解決できるかを、考えて実行することの方が建設的だと思います。

この本は、それぞれの本能ごとに、見やすいグラフや表を用いて私たちの様々な誤解について解説してくれます。膨大なデータを駆使して、これらの見やすくて分かりやすいグラフや表を提供してくれているのが、ギャップマインダー財団です。この財団は、先にご紹介した、世界を正しく理解できるているかどうかクイズを開発した財団です。
本の中で、世界の貧困について正しく理解するため、世帯収入を4段階に分類して把握する方法が提案されています。それが、Dollar Street(ダラーストリート)です。これもこの財団が開発しています。先進国と発展途上国というくくりはもう古く、世界中、住む国が違っても世帯収入が同じだと、ほぼ同じような生活をしているということが分かっています。

私は、この考え方が目からうろこでした。しかも、すごく分かりやすかったのでこの本を家族に勧めたのですが、わが家の中高生が通う学校では、Gapminderを授業で既に使っているとのことでした。先生たちがちゃんと自分たちの知識をアップデートされていることが分かり、安心しました。

「ファクトフルネス」の筆者について

本に記述された内容の要約です。詳しくは、本をお読みくださいね。

ハンス・ロスリング、1948年スウェーデン生まれ。公衆衛生の専門家。ストックフォルムのカロリンスカ医科大学教授。モザンビークで医師を務める。WHO、ユニセフ等様々な国際機関のアドバイザーを務める。スウェーデンで国境なき医師団を立ち上げる。息子のオーラとその妻のアンナとギャップマインダー財団を立ち上げた。」

オーラさんとアンナさんが開発した動くバブルチャートは、「トレンダライザー」としてGoogleに買収されたそうです。3年間は、Googleでも働いていたそうですよ。その後は、また財団に戻り、新たな教育ツールを開発されているとのことです。

すごい方たちですね。先のギャップマインダー財団のHPに行くと、数々の彼らのTEDトークが見られますので、ご興味ある方は、是非見てみてくださいね。

どこが良かった?

と聞かれれば、全部です。世界の良いニュースはニュースにならず、毎日悲惨なニュースばかり目につくので、本当に癒されましたね。世界は自分が思っているほど悪くない、と感じました。この「癒された」という感想は、ハンスさんがこれまで講演された時にも受講者から多く聞かれたそうですよ。

統計データの話をされて癒されるってどういうこと?と最初は筆者もピンとこなかったのですが、百聞は一見にしかず、是非、ご興味持たれた方は読んでみてくださいね。お勧めです。



それでは今回は、「世界は思うほど悪くない、『ファクトフルネス』を読んで」について書きました。

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