【保存版】ジュニアテニスの怪我と対処法。


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(更新:11月26日, 2019)

テニスでお子さんが怪我をした時に、皆さんはどうしていらっしゃいますか?

今回は、初めてわが子がテニスで怪我をした時の体験を、皆さんにシェアしたいと思います。さらに、その体験を通じて自分でも色々勉強し、現在では医者にほとんど行かずに、自宅でリハビリすればすむようになりましたので、皆さんのお役に立てるよう、その際に活用しているサイト2種をご紹介したいと思います。

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初めての、子どものテニスによる怪我
テニスの怪我と対処法
痛み対策ハンドブック
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初めての、子どものテニスによる怪我

私にとって最初の子どものテニスによる怪我は、一番上の子が13歳くらいの時、トーナメントで勝ち進んでいる時に、足のつけ根の痛みを訴えたことでした。自分の痛みなら、これくらいは大丈夫、これくらいなら医者に行かないといけない、と判断つくのですが、こと他人、ましてや、まだ怪我の経験が少ない子どもとなると、彼ら自身で医者に見せる見せないの判断がつきません。この時は、一週間たっても痛みがあるとのことでしたので、スポーツ医療の専門医に見せることにしました。

そこで受けた診断は、大腿筋(四頭筋のうちの一つ)結合部の炎症、というものでした。ご存知の方もいるかと思いますが、子どもは成長期を過ぎるまで、筋肉のつけ根の腱と骨の結合部分は、軟骨でできています。これが成人になるとちゃんとした固い骨になって丈夫になるのですが、そのつけ根部分の許容範囲を超えて運動をすると炎症を起こしてしまう、というわけです。オーバーユースともいいますね。

オーバーユースはテニスに限らず、全てのスポーツや動作においておきるので、気を付けなければいけません。また、どれくらい運動したらなるのか、ということは一人一人体のつくりが違うので一概には言えず、人それぞれ、ということになります。

対処法としては、痛みがなくなるまで一か月くらいテニスをやめ(痛みのない範囲でのプレーはOK)、8回分のフィジオセラピストによるリハビリトレーニングを処方してもらいました。フィジオセラピストとは、理学療法士のことです。リハビリは、週2回、約一か月。痛みのない範囲でテニスを続け、痛みのある部分の周りの筋肉を鍛え、徐々に負荷を上げていくようなイメージでリハビリトレーニングは続きました。

フィジオセラピストいわく、多くのジュニアは、痛みがあっても、なかなかコーチや親に言わないのだそうです。また、一度痛みを言い始めたジュニアは、次々に、今度はここが痛い、あそこが痛い、と言うので気を付けるように、と言われました。成長期とは、そういうものだよ、とも。ほっておくと、悪化していくだけだから、痛みが出たら、まずは痛みのない範囲でプレーをするように、また、何もしないよりは、痛みのない範囲でプレーをし続けることが大切だ、と言っていました。さらに、思うようにプレーができなくてストレスがたまるときは、時には頭を使って戦略の勉強をするといい、せっかくの機会だから、とアドバイスしてくれました。けがしていてもできることはたくさんある、気を落とさないように、という彼なりのわが子へのメッセージだと私は受け取りました。

というのも、このフィジオセラピスト、スイスプロサッカーチームのジュニアチーム担当セラピストでもあったのです。ちょうどその時期、自分の担当しているジュニアチームがスイス国内のNIKEカップで優勝し、ヨーロッパ大会に出場するので同行しなくちゃいけないんだ、と教えてくれました。多くのジュニアたちを見てきた彼なりのアドバイスは、大変貴重で、今でも参考にさせてもらっています。

ちなみに、診察してくれたお医者さんは、Swiss Olympic Team公認のスポーツ医療専門家のお医者さんです。つまり、スイスのオリンピック代表選手たちも受診しているスポーツ科、ということです。

なんでこんな専門的なところに連れて行ったのかというと、実は以前小児科や救急で何度かこの病院を訪れているのですが、院内を歩き回っていた時に、"Swiss Olympic Team"のロゴを見つけ、かっこいいな~スポーツのけがはここに見せに来ればいいんだ、とその時に思ったんです。

また、スイスでは医者の予約がなかなか取りづらく(この時も2週間先にやっと取れた)、万が一的が外れた診断をされると、再来院か、別の先生や科に改めて予約を入れなおさなくてはならず、初めから絶対に間違いのない医者に診てもらいたかった、という事情もありました。

さて、わが子の大腿筋の炎症は、約2か月の休息とトレーニングを経て、3か月目には通常練習に無事戻りました。親も子も初めてのことだったので、お互いにエネルギーを使ったなぁという印象でした。やり遂げた感と共に、疲労感を感じたことを覚えています。

その約半年後、今度は同じわが子が、「サーブする時に腹筋が痛い」と言ってきました。フィジオセラピストの言う通りでした。このサイクルがあと何回続くのかと思うと、私も少ししんどくなってきてしまいました。しかも、まだ成長期に突入していない子がもう一人いたものですから。そこで、医者やリハビリトレーニングに通う前に、まずは自宅で対処できることがないか探すことを思い立ち、調べてみたところ、あったんです!

次に、その情報サイトをご紹介します。

テニスの怪我と対処法

そのサイトとは、以下のITF(International Tennis Federation、国際テニス連盟)のホームページにある、Injury Clinicのページです。



しかもこのサイトには、最初の大腿筋の炎症(Groin Injury)も、サーブ時の腹筋の痛み(Abdominal Muscle Strain)も、載っているではありませんか!以下が、対処法が載っているけがのリストです。

お心当たりのあるけがの名前、いくつかあるのではないでしょうか?
  • Abdominal Muscle Strain 腹筋の肉離れ
  • Achilles Tendon アキレス腱
  • Ankle Sprain 足首の捻挫
  • Calf Muscle Strain ふくらはぎの肉離れ
  • Groin Injury 鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)
  • Hamstring Muscle Strain ハムストリング(太もも後ろ)肉離れ
  • Heel Pain かかとの痛み
  • Iliotibial Band Friction Syndrome 腸脛靭帯症候群(ランナー膝)
  • Impingement Syndrome インピンジメント症候群
  • Jumper's Knee ジャンパー膝
  • Kneecap Pain 膝の皿の痛み
  • Lower Back Pain 腰痛
  • Osgood Schlatter Knee Injury オスグッドシュラッター病
  • SLAP Lesion SLAP損傷
  • Tennis Elbow   テニス肘
  • Wrist Tendinopathy 手首腱鞘炎
それぞれのけがについて、以下の構成で説明があり、リハビリ方法もステップを踏んで丁寧に説明してくれています。

Description  概要
Risk factor  原因
First Aid  応急処置
How to Ensure the Best Recovery 最適なリハビリ方法
  Stage 1. Improvement of Normal Function 通常機能の回復
  Stage 2. Build-up 強化
  Stage 3. Return to Play プレーに戻る
Preventing Re-injury   再発を防ぐ

ということで、最初の子が怪我した時に、このサイトを知っていれば…と思いましたが、ちゃんとしたスポーツ専門医に診察してもらい、ジュニア経験豊富なフィジオのお世話になった体験があるからこそ、上のサイトの内容が参考になると納得できるのでしょうから、良い勉強になった、と考えています。

いずれにせよ、それ以降、最近でいうと2番目の子が左手首の甲の痛みを訴えたので、上記のWrist Tendinopathy(手首腱鞘炎)を見てみましたところ、またもやドンピシャな内容でびっくりしました。

腱鞘炎と言えば、利き手首を想像しますが、わが子は右利きで(右フォア)、利き手とは反対の左手首が痛いとのことでしたので、まれなケースなんだろうな、と思い込んでいました。ところが、内容を読んでみると、両手バックハンドの利き手ではない方の手首が腱鞘炎になることが多いと書いてあり、びっくりしました。その通りだったからです。私には、目からうろこでした。両手バックハンドでラケットをテイクバックし、振りぬくという一連の動作で、左手首に負担がかかる(左利きの人は右手首に)、ということのようです。

しかも、痛みが2か月くらい長引くと書いてあったので、親も子も心の準備も万端で、気長に直すことができました。本人もあせることなく、2か月間は両手バックハンドは封印し、右手バックハンドスライスと右手フォア回り込みでひたすら練習と試合をこなし、おかげ様で、本人はこれを機に右手バックハンドスライスが本当に上手になりました!

もともと両手バックハンドは得意だったのですが、右手バックハンドスライスという得意ショットが増え、攻撃パターンを増やせたようで、本人もけがの期間にモティベーションを落とすことなく乗り切ることができました。

一方の左手首は、上記のサイトに記載されていた通りにステップを踏んでトレーニングをし、痛みがなくなったころには、以前よりも強化された形で、通常の両手バックハンドに戻ることができました。

実は、コーチに一か月経っても左手首の痛みが取れないので、医者に行ってこいと言われていたのですが、ITFのサイトで痛みが引くのに2か月はかかると記載があったっため、もう少し様子を見させてくれ、と説明できたので、大変ありがたかったです。さすがは、ITFのサイトです。テニス関係者のプロたちが内容を監修し、テニスプレーヤーには丸々参考のできる内容になっていると思いました。

このサイト、イラストが大人なのですが、テニスの動作は大人もジュニアももほぼ同じ、結局は同じ部位に負担がかかって怪我するのだと思うので、親も子もこのサイトはとても参考になるのではないかと思います。

スイスの医療費高いですから…なるべく医者にかからずに治したい、という方は、上記サイトをまずご参考になされると良いと思います。

痛み対策ハンドブック

さて、次にご紹介したいのは、日本のサポーターメーカーzamstの、「かなり役立つシリーズ 痛み対策ハンドブック」です。下記サイトよりダウンロードできます。
子どもたちがテニスを始めたばかりの頃、数日で治る軽症の足首や膝の痛みをよく訴えたので、サポーターを使用すると共に、様々な痛みに対するハンドブックを活用させて頂きました。

以下のハンドブックをダウンロードしてプリントアウトし、親子で読んだり、トレーニングをしたりしていました。子どもが将来大きくなって、自分の体を自分でケアできるようになってほしいという願いと共に。

  • 腰の痛み対策ハンドブック
  • ヒザの痛み対策ハンドブック
  • 肩・ヒジ・手首・指の痛み対策ハンドブック
  • 足の痛み対策ハンドブック
  • 肉離れ・すねの痛み対策ハンドブック
  • スポーツをするジュニアへのアドバイス集
  • 疲労対策ハンドブック
  • アイシングハンドブック
  • 足首ネンザを軽く見ちゃダメ! ネンザの話

特に、アイシングの基本RICE(安静Rest, 冷却Icing, 圧迫Compression, 挙上Elevation)は、スイスでも共通です。昨年、一緒にテニスの練習をしていた私の友人が、私の目の前で足をひねり、すぐにぱんぱんに腫れるほどの捻挫をしてしまいました。その際にも、RICEの知識が役に立ち、友人からは感謝をしてもらいました。是非、ご参考になさってください。

以上、テニスよる子どもの怪我実体験と、対処法やリハビリ方法で役立つサイトについてまとめてみました。怪我がないのが一番なのですが、どうしても必要な時に、お役に立てれば幸いです。もちろん、不安な時は、お医者さんにご相談くださいね。

お読みいただき、ありがとうございました!

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