スイスでは、高校生も持ってる暗号資産、儲かるの?

 

<Photo: Photo by André François McKenzie on Unsplash>

皆さん、こんにちは!

スイスでは、マスクもワクチン証明も全て不要になり、驚くほど通常生活にもどっています。Covidにかかった人とワクチン接種者を合わせると90%に達していること、夏になりウイルスが一時的に弱まっていること、換気状況も良くなっていることもあると思います。

さて、仕事と生活と忙しくしているうちに、最後にブログを更新してからあっという間に2年が経ってしまいました。

突然ですが、本日は、主に筆者の備忘記録として、暗号資産についてまとめておきたいと思います。

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●筆者が暗号資産に興味を持ったきっかけ
●暗号資産とは
●暗号資産の種類と世界市場規模
●暗号資産で利益が出る仕組み
●暗号資産は儲かるのか?
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●筆者が暗号資産に興味を持ったきっかけ

数年前から、ビットコインやイーサリアムなど、よくネットニュースで見聞きするようになりましたね。以前から、興味はありました。ですが、どこから学んで良いかわからず、この2年間は地道に自分で調べてみたり、実際に購入して運用したりしていました。

さらにある日、受験生の長男が、
「俺の周りで、半分以上の友達がクリプト(暗号資産)やってる。学校の図書館に集まると、みんなその話してる。」
っと言ったのです。え?18歳の高校生ですよ?スイスって高校生が暗号資産買えるの?と驚きました。高校生が買えるなら、自分も買えるはず。ならば、調べてみようと思ったのが筆者が暗号資産に興味を持ったきっかけでした。

後は、スマホやネットの世界と一緒かと思うのですが、子どもが突入していきそうな世界を、親もちゃんと勉強して、リスクを知っておいた方がいいかな、ということもありました。

●暗号資産(暗号通貨)とは

さて、暗号資産とは。簡単に言うと、

    暗号資産とは、ブロックチェーン上で流通するお金のこと

です。ブロックチェーンとはなんぞや、は別の機会でご説明するとして。通常のお金は、つくりや仕組みが異なるので、ブロックチェーン上で流通することはできません。なぜ、暗号資産がブロックチェーン上で流通できるのかと言うと、暗号資産はブロックチェーンでできているからです。(ちなみに、ブロックチェーンは一種類ではありません。例えば、ビットコインとイーサリアムは、異なるブロックチェーンです。)

いや、そんなアバウトな説明じゃなくて、ちゃんとした法律の定義が知りたい、という方。日本においては、「資金決済法第二条5項」において暗号資産は定義されています。ここでは、先の定義に加え、「法定通貨ではないもの」と言った説明がされています。つまり、円でもドルでもなく、SUICAやPayPay等の電子マネーでもなく、マイレージポイントでもないものが、「暗号資産」だよ、ということです。

ちなみに、以前は仮想通貨と日本でも呼ばれていたのですが、2019年に法改正が行われて、正式名称は、暗号資産という呼び名に統一されました。ですが、今でも暗号資産と同義語で、仮想通貨という言葉を使った記事等を見かけるので紛らわしいです。

また、暗号通貨はほぼ暗号資産と同義語だと思って大丈夫です。それぞれの英語表記は以下の通りです。

    暗号資産 = Crypto Asset
    暗号通貨 = Crypto Currency
    (仮想通貨 = Virtual Currency)

●暗号資産の種類と世界市場規模

この記事を書いている現在、暗号資産の種類は約2万、市場規模(時価総額)は約160兆円だそうです。CoinMarketCap.comで確認できます。 Coin Market Capは、暗号資産におけるYahoo Financeのようなもので、現在は、暗号資産取引所で有名なBinanceの傘下にあります。

そして、暗号資産は大きく3種類に分別されます。
  1. ステーブルコイン(USDC, BNB, Tether等)
  2. 普通のコイン(ビットコイン, イーサリアム等)
  3. エキゾチックなコイン(上記に該当しないもの全て)
さらに、1のステーブルコインはその価値が何に担保されているかにより3種類に分かれています。
  • 法定通貨担保型:法定通貨や現金相応のものに担保されたもの
  • 暗号資産担保型:ビットコインやイーサリアム等に担保されたもの
  • 無担保(アルゴリズム)型:独自のアルゴリズムによって価値が維持されたもの
ちなみに、最近市場を震撼させたUSTは、アルゴリズム型です。このアルゴリズムにより価値を維持しようとする試みは、過去に何度も失敗しているらしく、筆者としては、全然ステーブル(安定)じゃないんだから、ステーブルコインの定義からは外してほしいな、と正直思います。

また、USDC, BNB, Tetherは、それぞれ常に1コイン=US1ドルの価値があるはずなのですが、その価値を担保している法定通貨や現金相応なものの割合が必ずしも100%ではないため、気を付けなければいけません。例えば、このブログを書いている時点でのそれぞれの現金・および現金相当の担保割合は以下の通りです。
  • USDC  67%
  • BNB    96%
  • Tether 2.7%
これを見ての通り、最も現金・現金相当に裏付けされているのは、Binance上でのみ流通しているBNBです。米国NY市の金融規制に準拠し、毎月監査が入り、内容を公開している比較的誠実な通貨と言えますが、ついさっきのニュースで、米SEC(証券取引委員会)が調査に入ったとのことです。気が抜けませんね。

一方、人気のTetherは、わずか2.7%で、その他の担保内容に関し不明なものがあると、以前から担当弁護士からに指摘され続けています。これまで、Too big to fail (失敗するには巨大すぎる)と言われてきましたが、USTの大暴落を受けて、Tetherへは、健全な担保内容を開示するよう求める声が高まっています。中には、TetherからUSDCへ乗り換えたクジラ(機関投資家・大口投資家)もいるとのこと。

BNBとTetherの間にあるのが、決済会社CircleとCoinbase(米国の暗号資産取引所)が設立したオープンコンソーシアムのUSDCです。2021年3月には、VisaがUSDCによる決済導入を決定しています(VisaカードでUSDCを支払いに使える)。

●暗号資産で利益が出る仕組み

暗号資産で利益が出る仕組みは、大きく以下の2要素が絡み合ってできています。
  • 価格変動
  • 金利収入
高金利の通貨は、必ずと言っていいほど、価格変動が激しいものか、値上がりのしにくい通貨と考えて良いと思います。

また、暗号資産の金利収入の原資はどこから来るかというと、暗号資産を購入したり交換したりするときに発生する取引手数料や、人に貸すことで得られる金利手数料からです。

高い金利収入をうたった商品例としては、
  • 高い手数料を取るもの(手数料が高いから分配される金利も高い)
  • 預け入れた資産で別の暗号資産を借り入れて、預ける資産額を2,3倍にして金利を稼ぐが、リスクも2,3倍になっているという仕組み預金のようなもの
  • ポンジ・スキーム
等が挙げられます。他の金融商品が持つ様々なリスクと同じかもしれませんが、暗号資産においても高い金利には、必ず理由があることに注意した方が良いと思います。

特に、ポンジスキームは投資詐欺の一種ですが、まだ歴史の浅い暗号資産業界にとって、発行者はポンジスキームのつもりはないのに、結果的にポンジスキームになってしまっている例が残念ながら存在しますので、気を付けなければなりません。

●暗号資産は儲かるのか?

正しく言えば、儲かる人もいれば、損をする人もいる、ということでしょうか。筆者の運用体験、および、最近のUST大暴落事件から感じている、筆者の個人的な感想は、
  • 暗号資産は、投資というよりも投機
  • 暗号資産は、為替取引やFXに似ている
  • 暗号資産は、宝くじににている(一部の人が大儲け)
ということです。

一つの研究例として、スイスにある世界でも評価の高いチューリッヒ工科大学の大学院生による論文を紹介します。この、
という論文では、以下の先ほど挙げた3種の暗号資産のうち、
  1. ステーブルコイン(USDC, BNB, Tether等)
  2. 普通のコイン(Bitcoin, イーサリアム等)
  3. エキゾチックなコイン(上記に該当しないもの全て)
1のステーブルコインか2の普通のコインでなければ、利益は上げづらいと結論づけています。3のエキゾチックなコインは、リスクが高すぎて到底お勧めできない、とのことです。

さらに、筆者としては、ステーブルコインの中でも、アルゴリズム型は他の2種のステーブルコインよりもリスクが高いため、今後購入することはないと思います。

以上の点において、現時点では、投資スタイルが、ETFとかインデックス投資信託のコツコツ長期投資だという方は、正直向いていないんじゃないかな、と思いますが、いかがでしょうか。

ちなみに以下は、ビットコインが発行されてから現在に至るまでの価格変動チャート(先のCoinMarketCap.comより)です。現在の価格は、これまでの最低価格から最高価格の、丁度、中間くらいでしょうか。つまり、これから上がる可能性も下がる可能性もあるということです。イーサリアムも同様のグラフを描いています。上がっていくのか、下がっていくのか、誰にも分かりません。


筆者は、USTは持っていなかったものの、暗号資産業界全体がこのショックから立ち直るまでに(人々がまた暗号資産を新たに購入したり活発に取引を始めるまで)、しばらく時間がかかりそうなため、一旦、持っている暗号資産は全て売却し、現金に交換してしまいました。

やはり、実経済が伴わないと(実際に商品やサービスを販売して利益が出る経済活動のこと)、これからも価格が右肩上がりに上がっていく、という確信がもてないのが残念なところで、投資というよりもリスクの高いFXに近いと考える所以です。

実際、暗号資産そのものが何か商品やサービスを生み出しているわけではないので、結局は、実経済や通常の投資などで利益が出ているから、暗号資産業界にも原資が回ってくる、と筆者は推測しています。

ですから当然、また実経済が上向けば、暗号資産業界にお金が戻ってきて、暗号資産の価格も上昇することは考えられるため、今のうちに買って持って置く、というのも戦略の一つかと思います。

いずれにせよ、どんな投資でも余剰資金で楽しんで行うべきなので、特に現時点では、「なくなってもいいや」くらいの金額で暗号投資はした方が良いと思いました。

実際、宝くじとは、我ながら良い例えだと思っています。買わないと当たりませんし、全額消えてしまう可能性の方が高いため、そんな大金つぎ込みませんよね。

一方で、ブロックチェーンやDeFi (Decentralized Finance: 分散型金融)の良さはあると思うので、今後もうまく活用できるように、各国規制を整備し、安全で健全な運用ができる環境が整うと良いな、と思います。

ということで、引き続き暗号資産分野の市場動向を見守っていきたいと思います。

それでは今回は、主に筆者の備忘記録として、暗号資産についてまとめてみました。間接的に、皆さんの知的好奇心のお役に立てれば幸いです。

【免責事項】
  • 本記事は、暗号資産投資、または、特定の暗号通貨をお勧めするものではありません。
  • 実際に暗号資産投資を行う場合は、ご自分でよくリサーチをしてください。

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