① 新型コロナウィルス、スイスでは。ー スイス上陸前

<Photo by Louis Reed on Unsplash>

(更新:2月16日, 2020)

皆さん、こんにちは。

今年の冬は、スイスでも暖冬で近場のスキー場は雪不足です。標高2000m以上行けば、たっぷりあるようですが。なかなか世界的にはコロナウィルスの状況が収まらず、もどかしい日が続いていますね。

残念ながら、日本初の死者も出てしまいました。筆者の両親も80歳以上なので、とても心配です。かと言って、パニックは絶対的に避けたいです。

収まってから振り返る意味でブログを書こうかと思っていたのですが、なかなか収まらないので、コロナウィルスを正しく知り正しく対処していくためにも、現状を書いておきたいと思います。

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コロナウィルス拡散マップ
コロナウィルスへの対処法
スイスでの状況
わが家の対策
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コロナウィルス拡散マップ


<ジョンズホプキンズ大学によるコロナウィルス拡散マップ>

上記の写真は、2020年2月13日のものです。それによると、

総感染者数:60,342人
総死者数:1,369人
総回復者数:6,074人

ということがわかります。それぞれの数値の下に各国、または、各地域の内訳が表示されています。また、マップの様々な箇所をクリックすると、詳細情報が見られます。右下の折れ線グラフのオレンジ線は中国本土の総感染者数の変動なのですが、最後急激に上昇したのは、「感染者」の定義をより広義にしたからです。そのため、急激に増えたように見えるだけです。

筆者は1月中旬からずっとこのグラフを観察していたのですが、そこから言えることは、
  • 総感染者数と総死者数の99%が中国本土であること
  • 致死率は2%で安定している
  • 回復者は死者数の役7倍であること(先週までは3倍)
またこの他、ニュース等をみていて分かっていることは、
インフルエンザウィルスの方が、コロナウィルスよりも空気を浮遊している時間が長いので、本来インフルエンザウィルスの方が感染力があるようです。しかしながら、武漢の病院や、横浜に停泊中のクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号は、患者を閉塞的な空間に閉じ込めて結果的にウィルスを培養してしまった、と指摘する専門家もいます。それを防ぐのが、窓を開け放して換気をすることのようです。コロナウィルスは、1mも飛べば死滅してしまうので、SARSの際に窓の換気をすることで、ベトナムの病院が収束に成功したという事例があり、参考になりそうです。コロナウィルスは石鹸やアルコールで死滅するとのことです。

また、米疾病センター(CDC)は、今回のコロナウィルスは、「銅と鉄の面では2時間、ダンボールやプラスチック上ではそれ以上生存している可能性が高い。」とし、物を介して拡散する可能せいがあることを指摘しているので、注意したいですね。これが、予防策としてマスクよりも手洗いの重要性が叫ばれる理由です。

致死率はインフルエンザと同等、少なくとも米国ではインフルの方が猛威を奮っている、という状況でしょうか。米国は、健康保険にも加入できない貧困層がいるので、その被害を受けていると思われます。

コロナウィルスへの対処法

WHOがワクチン開発には18カ月くらいを要すると発表しているので、それまでは、下記のようなインフルエンザ対策と同じ対処法しかないということですね。
  • 不必要な外出はしない
  • 外出時はマスク着用(ただし、国によっては症状がなければしないことを推奨)
  • 帰宅時は石鹸で手洗い、うがい
  • 他者との半径2m以内、15分以上の濃厚接触を避ける
  • 日頃から免疫力を高めておく(食事、睡眠、運動)
  • インフルエンザワクチンの摂取
  • 特に高齢者は肺炎球菌ワクチンの摂取
  • 部屋の換気を行う
マスクのウィルス遮断効果が完璧ではないため、世界的供給不足を招かないためにも、国によっては症状がない場合は、極力しないで欲しいといったところがあるようです。

マスクが市場でなくなってしまったら、警視庁がシェアしてくれた、キッチンペーパーで作れる簡易マスクが良さそうです。ご参考まで。ちなみに、一昨日訪れたトランポリンパークではインストラクターのお兄さんが、鼻水だか咳をしているからといって自主的にバンダナでマスク作ってしてました。こちらではマスクはとても珍しいので、現状に配慮しているんだな、と改めて今回のコロナウイルスの反響の大きさを実感しました。

日本で、コロナウィルスの患者を診察したお医者さんが、「4,5日が目安」とか「風邪症状が1週間以上続く」に注意、その後治っていく人と肺炎に移行する人に別れてることが多いとおっしゃっています。これは覚えておきたいですね。でも、怪しいと思ったらすぐ家庭内感染を防ぐようにしないと、陽性と判断されてからでは、すでに家庭内感染している可能性が高いですよね…。

スイスでの状況

現時点で、スイスでの感染者は確認されていません。が、隣国では既に見つかっているので、時間の問題のような気もしています。感染者がまだ確認されていないためか、空港ではまだ入国検査もやっていませんし、職員はマスクもしていません。

筆者や子どもたちが学校やコミュニティで直接差別されている印象も、他のアジア人が差別を受けている印象もまだありません。他のヨーロッパでは、在住の日本人芸能人の方たちがそのような差別が出てきているとレポートされていますが(例:辻仁成さん中村江里子さん)、少なくとも筆者の周りでそのような現象はまだ見られていません。

ちなみに、本日もフランスの小さなスキー場でスキーをしてきましたが、差別されるような目で見られたり、差別を受けるようなことはありませんでした。

それよりもスイスには、普段から挨拶時に、ほっぺた同士をくっつけ、ちゅ、ちゅ、ちゅっとなぜか3回キスする習慣があるのですが、筆者は個人的にまだこれが小っ恥ずかしいので、この機会を利用し、筆者からは積極的にしないようにしています。

2週間ほど前、チューリッヒで感染が疑われた人が2名いたものの、検査の結果陰性だったのこと。検査キットは、ジュネーブ大学病院が開発済みと発表しています。

そのジュネーブ大学のHPに、コロナウィルスのQ&Aの動画があります。フランス語に自身のある方はご参考まで。

また先日、シンガポールの国際会議で感染者、フランスのコンタミンというスキーリゾートで5人に感染させたスーパースプレッダーの英国人男性が回復したとのニュースがありました。その方の9歳のお子さんも感染し、現在治療中とのことですが、その子と同じスキーチームに、息子たちの学校の子たちが数名いたらしく(フランス在住)、学校から緊急メールが来ました。検査結果は陰性だったものの、2週間以上の自宅待機期間を経て、来週のスキー休み明けに登校させるとのことでした。筆者は、速攻日本の例を挙げ、登校前にもう一度検査して陰性を確認してから登校させて欲しいと依頼しました。インフルエンザのウィルス同様、コロナウィルスもある程度増殖しないと検出されないので要注意ですよね。日本のニュースを見ていても、感染者でも無症状の方もいるので、判断が難しいところです。

そのスキーチームに、さらにヌーシャテル在住の子がいたことがわかっており、検査結果は陰性だったものの、2週間の隔離をされています。この状況を受け、ヌーシャテルにある会社が、リモートワークの体制をととえているとか、すでに実施しているとかラジオで放送していましたね。

筆者の友人の子どもが通う別の学校では、中国と日本が渡航禁止国に指定されたそうです。スキー休みや春休みにそれらの国を訪れた生徒は、スイスに帰国後、2週間自宅(寮)に待機しなければならいとのことです。

筆者のパートナーが所属する組織では、リモートワークがいつでもできる体制を整えて、近々パイロット(実験)を実施しています。

3月にジュネーブで国際的なモーターショーが予定されており、筆者は行くのどうしようかな…と迷っているところです。本日、末っ子の映画館行きたいというのも却下したくらいなので。

ちなみに、初期に中国系スイス人に本土のご家族大丈夫?と聞いていたのですが、故郷は武漢ではないものの、当初の武漢はパニック状態にあり、皆心配して受診し、結果、実際には30%がコロナウィルスで、70%は他のウィルスだったようです。そう考えると、慌てて病院に行って、そこで感染してしまったケースもかなりあったことが伺えますね。これを私たちも教訓にしたいものです。

武漢の状況を初期にニュースで見たのですが、待ち時間5時間、場合によっては次の日まで診察を待たなくてはならない、という現状が紹介されていました。が、わが家の住むスイスの街にも大病院がありますが、パニックでもないし患者が溢れかえっているわけでもないのに、大人であれば2〜3時間待ちはざらにあります。救急に行きたくなるのは、なぜか休日の夜であることが多いですよね?当たり前かもしれませんが、実はその時間帯は、勤務医が少ないので、待たされるわけです。そんな夜遅くに何時間も待たされるくらいなら、快適な自宅で安静にして待機し、多くの医者が通勤してくる朝8時、待てるならさらに平日の朝8時以降に行った方が、まず患者数が少ないですし、勤務医の数も多いので、待ち時間が少なめですみますのでご参考まで。さらにお察しの通り、バカンス中は顕著に勤務医が少ないのでご注意を。いやいや、とにかく病院に行くだけで安心して症状が落ち着く、ということであればとりあえず病院に行くのも良いと手だと思いますが。

わが家では、これまでに何度も救急にお世話になっていますが、日本では絶対入院しているだろうと思われる症状でも、家に返されています。末っ子が0歳の時にRSウィルスかインフルエンザにかかった時、次男が夜も眠れないくらい胃痛が続いた時、パートナーが年末重症の気管支炎になって1人で病院に行くことも困難だった時、筆者が1週間ほぼ何も食べられずとうとう水も吐いてしまうような状態になって行っても、点滴は打ってもらえませんでした。末っ子は機嫌が良く自力で回復できると判断され、次男も普通の風邪と診断され、パートナーは抗生物質と服用ステロイドを処方してもらい、筆者は吐き気止めや下痢止めをもらい、自宅で療養して直しました。ですから、今回も万が一スイスでコロナウィルスが流行り、自宅療養で治せと言われても驚きません。

そもそも、インフルエンザでさえ、こちらでは滅多にウィルス検査をしません。なぜなら、どんなウィルスだろうが、今のところ対処療法しかないからです。スイスでは、インフルエンザ治療薬は、新型インフルが流行した時のみ処方されていましたが、それ以降は処方されていません。0歳児がRSかインフルエンザにかかった時も、多分そうだと思うとお医者さんが言っていましたが、検査はしませんでした。こちらで検査する時は、抗生物質が必要な細菌性の病気が疑われる時です。例えば、先日末っ子が4日間の高熱が下がらず溶連菌による猩紅熱が疑われた時や、中耳炎にかかった時などです。今回のコロナウィルスも、ウィルス保持者でも無症状だったり重症化が限られるところを見ると、そのうち、検査しなくなるかもしれませんね。

こちらに住む期間が長くなってくると筆者は、日本の医療体制ですっかり甘やかされていたのかな、と思うようになりました。どんなに「死にそうな」状況だと思ってこちらの救急に行っても、「いやいや、まだまだ元気な方ですよ」という対応をされるので、今ではすっかり自分って以外と丈夫なんだな、と変な?自信もつきました。段々と、これくらいなら大丈夫、この症状ならこの薬、という感じで経験を積んで分かってきたことをまとめて書いたのが、「スイスの薬ってどう?ーわが家の常備薬」です。ご興味ある方は、ご参考まで。

コロナの話に戻します。現時点で日本よりも感染者数が多いシンガポールに住む友人家族にどんな生活になっているか聞いてみました。検温はいちにち2回義務付けられているものの、普通に通勤、通学しているとのことでした。警戒レベルが上から2番目に上がった時は、買い溜めが起こり、商品が棚からなくなったそうですが、現時点では既に落ち着いているとのことです。若干、道ゆく人が減っているようです。シンガポールでも日本同様、国内での感染例が出ているので、気が抜けない状況ではあるようですが、パニックにはなっていないようです。シンガポール在住のジャーナリストが現時点でまとめてくれた経過もそんな感じになっているので、ご参考まで。

ちなみに、台湾に住む友人一家は、学校が休校となり、子どもが家にいて大変、と言っていました。もっとも、子どもたちはバカンス気分で大喜びのようですが…。

わが家の対策

これと言ってできることは限られていますが、先に列挙したコロナやインフルエンザウィルスの対処法に加え、
  • トイレや洗面所の手洗いタオルを毎日交換する
  • 家族間でも食べ物や飲み物をシェアしない
  • 風邪をひいている人がお風呂は最後に入る
程度でしょうか…。ただ、各国の状況は、子どもたちとシェアしています。そうでないと、危機感湧いて実践してくれませんよね。わが家では、以前より家庭内感染が最大の脅威だったので、それを阻止すべく、毎年冬は筆者が奮闘しています。毎日手洗いの声がえけやタオルを替えるのってはっきりいって、面倒臭いです。洗濯物も増えるし、勿体無いんじゃないの?と子どもに言われたこともありますが、今はその習慣に感謝されています。また冬といえば(夏もありますが)胃腸炎。流した後、便器や洗面台に使用するアルコールスプレーも常備しています。そのためか?汚物を処理するのは大体筆者ですが、子どもの胃腸炎をめったにもらったことはありません。わが家では、風邪症状があるとわかると、本人にマスク着用をお願いし、移されたくない希望者もマスクを着用するため、マスクは常備してあります。風邪を引いている本人の残した食べ物は、他の家族が絶対に口つけないように、本人が責任をもって食べるか、もったいないのですがやむをえない時に限り廃棄しています。

また、日本に住む両親に、不必要な外出を控え、やむをえない外出時にはマスクをし、帰宅後の手洗い、うがいを必ずして欲しいとお願いしています。

2002年〜2003年頃のSARSの時は、長男が生まれたばかりで、ピリピリしていたことを思いだしました。流行地域ではなかったもののアジアからの出張帰りのパートナーに、「実家で2週間過ごせないの?帰ってきて欲しくないんだけど。」と本気でお願いしました。帰ってきてしまったので、別の部屋で2週間寝てもらった記憶があります。現在、妊婦の方、乳児のいらっしゃる方のお心をお察しします。1日でも早くこの状況が収まるよう、筆者も願っています。

コロナウイルスの状況は、今後も経過観察していきたいと思います。

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