「テニス兄弟」の育て方

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「きょうだい」を育てている以上、喧嘩はしても、将来仲良く育ってほしいという思いは、多くの親共通の願いではないでしょうか。同じスポーツをしているならなおさら、できれば仲良く練習して、切磋琢磨して成長してくれれば…なんて。

わが家では、兄弟が中高生になり、やっとお互いが良きテニスの練習相手として成長してくれたような気がします。喧嘩ばかりしていた幼少の頃から、最近までの軌跡を綴ってみたいと思います。

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喧嘩ばかりの幼児~小学生時代
ダブルスは意外に息が合う?
中高生から、互いが良き練習相手に
最近分かってきた、兄弟それぞれの長所
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喧嘩ばかりの幼児~小学生時代

わが家は例外ではなく、少なくとも一日一回、平穏に仲良く遊んでいても、最後には必ず喧嘩をする兄弟でした。

このありあまるエネルギーを、建設的に何かに向ければいいのに…と思っていたところ、長男がたまたまテニスを気に入り、始めることになりました(「子どもが『テニスのプロ選手になりたい!』と言い出した時の、競技テニス歴無しの親が取るべき対応。」ご参照)。次男もついでに始めてくれれば、ゆくゆくは兄弟で一緒に練習できるかも?と、安易な考えで次男も誘ってみたところ、あっさりと「いいよ。」という答えが返ってきました。一体仲が良いのか、悪いのか、わかりづらいです。

ところが、コート上でも喧嘩になるんですね…。お互いの技術不足でラリーが続かないのに、相手のせいにして。負け始めると怒って、どちらかが必ず「やめる。」と言って練習中断や終了なんて、しょっちゅうでした。一緒に切磋琢磨したら上手になるのに…もったいないあ、と思うのは親だけだったようです。

ただそれでも、週末打ち合える相手がいないよりましでした。スイスでは、基本、週末にレッスンはありません(「スイスのジュニアテニス事情」ご参照)。一人っ子であれば、常に練習相手を探さなくてはなりません。兄弟で練習したくなければ、それぞれ練習相手を探してくればいいんだよ、と言っていたのですが、特にそれぞれ探すわけでもなく、結局兄弟で打ち合うことが多かったですね。

一時、次男は練習の誘いが多かったのですが、わが家の事情としては次男が誰かと練習してしまうと長男の練習相手を別途手配しなくてはならないし、スケジュール調整やコート取りが複雑になるので、よくお断りをしていました。そのせいか、最近あまり声もかからなくなりました。

ということで、たかが兄弟、されど兄弟、喧嘩しながらも一緒に練習しながら少しずつ上達していきました。一人っ子のテニス親友達からは、本当にうらやましがられています。その分こちらの苦労も多いのは見えていないかと思うのですが…

ダブルスは意外に息が合う?

子どもが兄弟の親友達とはよく、「兄弟同士でダブルスなんて、絶対させられないよね。」と話していました。コート上で不機嫌になって、喧嘩でもされたら…特に団体戦では考えられません。

ところが!わが家の兄弟がダブルスを組んで、クラブ代表として戦わなければならない場面が昨年初めてやってきました。それだけは避けたかったことが現実に…しかも、私が保護者代表でしたので、喧嘩だけは勘弁してよ~と心の中でひやひやしどうしだったことを覚えています。

さらにところが!全然喧嘩しないではありませんか。しかも、なかなか良いチームワーク。お互い日本語が通じるためか、長男が自分のミスでイライラしても、そんな彼の気性の粗さにふだんから慣れっこの次男は、まったく気にせずムードメーカーに。一方で、技術や戦略では勝る長男が、難しい場面でも活躍し、次男を助ける場面も。お互い兄弟としてではなく、テニスプレーヤーとして協力して戦っていました。

そんな姿を見て、母は勝敗よりも、喧嘩を一度もせず協力して戦った兄弟を見られて、とても嬉しかったです。なんだか、今までの苦労が少し報われた気分でした。

なんだかんだ言って、テニスプレーヤーとしては、お互い尊重しあっているんだな、ということに気が付きました。

ちなみに、長男の好きなテニス選手はフェデラーです。昨年、次男に好きなプロ選手、目標にしたい選手はいないのか、と聞いてみたところ、長男だと答えていました。それを長男に伝えたら、気持ちわりーな!と嬉しそうに言っていました。いったい仲が良いのか悪いのか、本当に良くわかりませんよね。おそらく、本人たちも良く分からないのでしょうね。

中高生から、互いが良き練習相手に

最近、とても嬉しいことがありました。わが家の兄弟が、練習で、テニスのシングルスの練習試合をしていたんです。

昨年夏から、長男はレッスンをやめていましたし、かれこれ2年くらいは兄弟で打ち合うことはあっても、練習試合はしていなかったのではないでしょうか。以前練習試合をすると、必ず喧嘩で終わっていたので。今回は試合終了後、ネットに歩み寄り、公式戦の時と同じように握手もちゃんとしていました…

筆者は横のコートで、末っ子と一緒にテニスをしていましたが、もしかしたら、また喧嘩が始まるかも…と内心ひやひやしていたので、あまり気にしないようにしていました。末っ子は、練習の合間に2人のお兄ちゃんの試合を嬉しそうに見ていましたね。あとで聞いてみたら、「かっこよかったから」と言っていました。

試合の結果は聞きませんでした。楽しければそれでよかったので。

すると、駐車場に向かう途中次男が、「今日は、6-4で兄きが勝ったよ。」と教えてくれました。3歳離れていますからね。いつか兄を倒すことが次男の目標みたいです。先週は、フランスでのテニス強化合宿も頑張っていたようですし(「テニス合宿 in 南フランス!」ご参照)。

「テニス合宿 in 南フランス!」の記事で書いていた、次男にとって春休みの集大成、週末の試合では2勝してトロフィーをもらいました。合宿、兄との練習試合、そして、試合前日も兄とひたすらボレー練習していた成果ですね。春休み、よく頑張りました。ちなみに決勝では、同年齢同格を6-0, 6-0で倒しました。簡単すぎたのかな?といえばそうでもなく、激しい打ち合いの末、勝つ時のスコアというのは、こんな感じだったりもするんです。努力の過程がスコアには表れないので、相手の子はがっかりだったかと思いますが…。

また、さすがお兄ちゃんです。レッスンやめても週一で技術を維持し、練習試合で弟に勝って。長男に関しては、今の方がプレッシャーもなく、メンタル的には以前よりも良い状態なのかもしれません。今でも弟の良き練習パートナーとして協力してくれ、助かっています。

2人とも、テニスに限らず今後の成長が楽しみです。

最近分かってきた、兄弟それぞれの長所

これまで無我夢中で子育てしてきましたし、特にテニスを始めた頃は慌ただしかったので、それぞれの性格もあまり決めつけづにここまでやってきました。

ただ最近は、筆者の心の余裕も生まれ、それぞれの長所を見つけたら、積極的に本人に伝えるようにしています。

【長男の長所】
  • 負けず嫌い(向上心が強い)
  • 好奇心旺盛
  • 器用(テニスの技術力、探求心あり)
  • 運動神経が良い(特に俊敏性とバランス感覚)
  • 信頼性に基づくリーダーシップ
【次男の長所】
  • スポーツ大好き
  • 社交的
  • 努力家(最後まであきらめない)
  • メンタルが強い(細かいことを気にしない)
  • カリスマ的なリーダーシップ
もちろん短所もありますが、長所の方が普段親からなかなか伝えないので、ここでは長所のみにとどめておきたいと思います。きっと、短所は本人たちが一番良く分かっていることでしょう。親も完璧ではありませんしね。

今回は、「テニス兄弟の育て方」として、わが子の成長の軌跡を書きました。

テニスは一対一で戦う、自分をさらけださなければならないスポーツです。今は喧嘩の多い子どもたちでも、過程を通じて、いずれは仲良く練習してくれたら嬉しいですよね。その時まで心穏やかに見守ってあげられたら、私たち親の心の中でも、素敵な思い出として残ってくれることと思います。

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