スイス全国テニスクラブ対抗戦 2019、始まりました!

<Photo from swisstennis.ch>

毎年5月~6月は、スイス全国のテニスクラブが競い合う、インタークラブ(クラブ対抗戦)の季節です。そして、今年もやってきました!

普段、個人で戦っているので、唯一団体で戦える、楽しい大会です。一年のほとんどは、個人で行動し、親が試合会場までの送り迎えをし、家族でほぼ完結した孤独な闘いを強いられているので、チームで戦えるこのインタークラブは、本当に楽しいものなのです。クラブ代表として戦えますし、負けてもチームメイトやコーチが慰めてくれますしね。親としては、ありがたーい仕組みです。

では、詳しく見てみましょう。

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スイステニスにとって、どれくらいインタークラブが大切か
大人のカテゴリと試合数
ジュニアのカテゴリと試合数
親がキャプテン?
試合スケジュール
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スイステニスにとって、どれくらいインタークラブが大切か

先日、今年のインタークラブに関する統計が、スイステニスより公式に発表されました。2019年インタークラブへは、約30,000人、約4,000チームが参加するとのことです。1人が複数のカテゴリに参加することも可能です。

この参加人数や参加チームの多さからだけでも、インタークラブの重要さが分かるかと思います。大人の最上カテゴリでは、他国からプロを呼んでくるクラブもあるくらいなので、相当真剣な闘いです。そのプロの中には、最高ATP200位代の戦績の選手が含まれています。

フェデラーや国代表でデビスカップに出場できるのはほんの一握り。スイスでのテニスキャリアとして誇れる実績の中に、インタークラブで、自分の所属クラブを優勝に導く、ということが含まれているのです。

大人のカテゴリと試合数

大人のカテゴリは以下の通りです。
  • LNA (League Nationale A)
  • LNB (League Nationale B)
  • LNC (League Nationale C)
  • 1L
  • 2L
  • 3L
LNAが最強のカテゴリで、下に下がるほど、弱くなりますが、どのカテゴリも最初は全てリーグ戦を戦います。そのリーグで優勝、または2位になると、次の全国トーナメント戦へコマを進めます。通常、リーグ戦の間は、地元の別クラブと戦うのですが、ナショナルリーグのLNA~LNCは、ナショナル(全国)とある通り、いきなり初戦から遠方のクラブと試合になることもあります。例えば、フランス語圏のクラブが、いきなり片道車で2~3時間もかかるドイツ語圏のクラブと対戦する、ということもありうるから大変です。

各カテゴリで一定の戦績を収めれば、次の年には、一つ上のカテゴリへ昇格することができます。例えば、息子たちの所属するクラブでは、昨年はLNCが最強チームでしたが、一昨年1Lだったチームが強かったので、一昨年にLNCに昇格しました。当時のチームには、その後米国NCAAの一軍クラブを持つ大学へ進学した選手もいました。

ちなみに昨年は、元N2(スイスのランキングシステムは、「スイスのジュニアテニス事情」ご参照)が2人いたので、めでたくLNCのポジションを守りました。長男が補欠で駆り出され、シングルスとダブルスを一試合ずつ経験させてもらいました。昨年のLNCには、スイスのジュニアホープのジェローム キム君が参加していたそうです。ジェローム キムって誰?という方は、是非「ワールド ジュニアテニス U14 ファイナル 2017年動画、スイス1位、日本3位!」をご覧ください。

今年はというと、昨年の元N2のうちの1人が今年は大学の勉強が忙しくて不参加とのこと。これにより我が家の次男までが補欠で駆り出されている状態です。今年は人材が薄いのでディフェンドできるかな…といった状況ですが、それもまたチャレンジングで面白いのかもしれません。

また、上記に示したカテゴリですが、それぞれ、年齢別も存在するんです。男性ならActive(現役)が一番若く、35歳+、45+、55+、65+とあり、最高年齢枠は70+となっています。以前、65+か70+の全国大会優勝者の男性のラリーを見たことありますが、ほとんどスライスですが、まったく動かず相手と安定したラリーをされていました。女性も、Active、30+、40+…と男性と同じくらい高齢の枠があります。近くのクラブから60+の優勝者が出ています。皆さん、ほぼ毎日クラブで練習されていますよ。健康的で良いですよね。

試合数は、男子はシングルス6試合、ダブルス試合、女子はシングルス4試合、ダブルス2試合です。ランクによる制限資格はありません。低いランクでも出られますが、強い選手を出した方が勝てるので、必然的にランクが高い人から上のカテゴリに割り当てられます。

ジュニアのカテゴリと試合数

さて、ジュニアのカテゴリは以下の通りです。
  • U18
  • U15
  • U12
  • U10 男女混合のみ
U18~U12までは男女別ですが、U10は男女混合チームの編成となります。

試合数は以下の通りです。

  • U18, U15男子:4シングルス、ダブルス2試合
  • U18, U15女子:2シングルス、ダブルス1試合
  • U12~U10は男女共にシングルス2試合、ダブルス1試合

U16くらいから年間を通じで大人の試合に出始めますので、インタークラブでU18が存在しないクラブもあります。息子たちのクラブがそうなのですが。

ランクの制限資格ですが、U18~U12ではR4までです。R3以上の子は、ジュニアには出られないので、大人のカテゴリに出場します。また、U10ですとR6までしか出られませんので、R5以上の子はジュニアの上の年齢カテゴリか、大人の弱いカテゴリに出場することが多いです。

ちなみに、冒頭写真の2枚目は、昨年のU15男子優勝チームです。昨年、息子2人の所属するチームが当たり、1勝5敗で負けましたが、うち3試合が惜しくもフル3セットで負けています。そのうち2試合が息子たちそれぞれのシングルスで、1試合が長男が参戦したダブルスでした。写真左、中央、一番左の子たちは、長男と互角の選手たちです。普段勝ったり負けたりしている間柄です。これくらいのレベルになると、本当にテニスの勝敗は、試合中のわずかな差が積み重なってできるんだな、と感じます。

親がキャプテン?

ジュニアのインタークラブの規定では、基本、保護者が「キャンプテン」を務めます。キャンプテンの主な仕事は、相手チームとの日程調整、当日のスコア記録、選手の選定です。ただし、クラブによって運営方法はまちまちです。全て本当に保護者がやっているクラブもあれば、息子たちのクラブのように選手選定はコーチが行い、その他は保護者がやり、昨年の優勝チームのように全てコーチがやっているところもあります。

昨年は、同じチームに息子2人が所属していましたから、暗黙の了解を感じ、一昨年に引き続き筆者が引き受けました。ティーンエイジャーが多いチームですから、なんでしょう、なんとなく気を使いましたが…。本来は、競技テニス経験者の保護者がやるのが一番なのですが、筆者のように競技テニス経験がなくてもやることはできます。息子2人とも、なんで自分の母親が…とは思ったと思いますが、他の方が仕事があったり、協力的でない場合もあり、じゃぁしょうがないね、みたいな感じで受け入れていました。

インタークラブでは、デビスカップのように、ベンチに座っている時は、コーチングができます。この時に、筆者がしてあげられることと言えば、大丈夫、と声がけをしてあげるくらいでしたが。何もしないでお茶しているキャンプテンもいますし、コーチングができたところで、それを実践できるスキルが選手にあるとも限りません。とにかく、メンタル的に自信を持ってもらえるよう、筆者は心がけていました。

試合会場は、ホームゲームとアウェイがたいだい交互となります。主催クラブがスナックと試合用の水を準備します。自分のチームと相手チームと、食べ盛りのティーンエイジャーが約15人ですからね…相当量の食べ物が必要です。ほとんどのクラブにレストランがついていますので、試合終了後にみんなで仲良く懇親会も兼ねて食事をすることもあります。大人の試合であれば、盛大にバーベキューを行うこともあります。

試合スケジュール

大人の試合は毎年5月に始まり、5月中にリーグ内で3試合~4試合行います。リーグで優勝、もしくは2位になると、6月からの全国トーナメント戦に参戦します。勝ち続ければ、決勝の7月下旬まで、ほぼ毎週闘い抜く、ということになります。

ジュニアは毎年6月に始まり、6月中にリーグ内で2~3試合行います。リーグ優勝か2位になると、夏休みは休み、8月下旬から全国トーナメント戦に参戦します。勝ち続けると、次の週に必ず次の試合が入り、10月下旬が決勝になります。

ちなみに、昨年U15男子で優勝したチームメンバーのほとんどが、大人の試合にも平行して出ていました。彼らは、5月から10月下旬までほぼ毎週、ジュニアだったり大人のインタークラブの試合に出ていたことになります。相当な試合経験がつめたことでしょう。その結果、彼らは、秋の新しいランキングでは、全員R3に上がっていました。しかも、費用は個人ではほとんどかからないので、インタークラブで試合に出てポイントを稼げるのは、とてもお得なのです。そして何よりまた来年もインタークラブ目指して個人の練習や試合を頑張ろう、という気持ちになれるのが心強いですね。機会があれば、是非お子さんをインタークラブに出場させてあげてください。他の保護者と一緒に、クラブチームを応援することで、とても良い経験、そして、親子の想い出ができると思います。

さて、こんな感じで毎年恒例の、スイステニスのインタークラブが始まりました。どんなドラマが待っているのでしょうか?楽しみです。

以上、「スイス全国テニスクラブ対抗戦 2019、始まりました!」について書きました。

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